一人親方の労災保険

一人親方労災保険への特別加入とは

労災保険とは、本来、労働者が仕事や通勤が原因で負傷(病気)した場合に、国が治療費などの必要な保険給付を行う制度です。この制度は「労働者」のためのものですので、事業主や一人で事業を行っている自営業者等(「一人親方」含む)は原則として労災保険を受けることができません。

しかし、一人親方の皆様の中には、事業主の立場であると同時に労働者と同じような現場仕事を行う方も多いのが実情です。そこで、このような実情にある一人親方を労働者と同じように保護するために、労災保険に特別に任意加入できる制度が設けられています。

加入のメリット

一人親方労災保険に特別加入をすると、仕事中のケガに対する治療費や給付基礎日額に応じた額の休業補償などの保険給付を受けることができます。また、通勤途上での事故においても一般の労働者の場合と同様に取り扱われます。

当組合では特別加入者証を発行いたしますので、現場入場に際して労災特別加入についての確認資料提示が必要な請負元への対応もスムーズに進みます。

加入いただける方

1.建設業で一人親方の方

大工、左官、鳶など建設の事業を行う人で、常態として労働者を使用していない(※)ことが条件です。

(※) 労働者を使用しない、または使用していても1年間に100日に満たない場合は加入いただけます。また、常態的に労働者を使用することになりましたら、併設の「労働保険事務組合 淀川労務協会」にて中小事業主等での特別加入へ切替することが可能です。

2.対象地域

以下の地域に事業所(ご自宅)があることが条件です。
大阪府、兵庫県、京都府、滋賀県、奈良県、和歌山県、三重県、鳥取県、岡山県、香川県、徳島県

[ご注意]

特別加入を希望する一人親方で、次表の業務と期間に該当する場合は、特別加入時に健康診断を受ける必要があります。
診断結果によっては特別加入が認められない場合があります。

業務の種類 特別加入以前に左記の
業務に従事した期間
実施すべき健康診断
粉じん作業を行う業務 3年 じん肺健康診断
振動工具使用の業務 1年 振動障害健康診断
鉛業務 6ヶ月 鉛中毒健康診断
有機溶剤業務 6ヶ月 有機溶剤中毒健康診断

対象となる災害

一人親方労災の対象となる災害には、次の2種類があります。

1.業務災害

いわゆる仕事中に起こった災害のことです。
ただし仕事中であれば全てが対象となるのではなく、請負工事現場での作業中や工事の打合せおよび現場の下見等請負契約に付随する業務中など「業務遂行性」が認められる場合に限られ、また、災害がその業務によって生じた「業務起因性」が認められるものであることが必要となります。

2.通勤災害

いわゆる通勤途上に起こった事故等のことです。通勤とは「就業に関し、住居と就業の場所との間を、合理的な経路および方法により往復すること」とされていますが、建設関係の場合、自宅から現場への直行・直帰を繰り返しているときは、現場の通勤災害となります。

一人親方の特別加入の場合、「自宅から機材置き場へ行き、機材置き場から現場へと向かうケース」では、自宅から機材置き場へ向かう途上での事故は通勤災害、機材置き場から現場へ向かう途上での事故は業務災害となります。

[ご注意]

建設業の現場労災で特別加入をしていたとしても、他の業務(営業、事務的な業務等)で負傷した場合や経営者的な業務(銀行との融資の相談、得意先との懇親会等)を行っていた際に被災された場合は、労災保険の対象になりません。

保険の給付内容

一人親方労災における保険給付および特別支給金の種類については一般の労働者とほぼ同様ですが、任意に選択する給付基礎日額に応じて給付額が決定されます。

特別加入者の労災保険の給付【給付基礎日額:10,000円で加入した場合の例】

種類 名称 支給内容
治療費 療養(補償)給付 「療養の給付」は労災指定病院では傷病が治るまで原則として全額無料で治療を受けられます。 また労災指定病院以外では、一旦病院に立替払いいただき、その後に監督署に費用請求する事で原則として全額返金される事になります。
休業の補償 休業(補償)給付
休業特別支給金
休業補償として休業4日目以降1日あたり休業補償費6,000円(給付基礎日額の60%)特別支給金2,000円(給付基礎日額の20%)合計8,000円が労務不能期間について受けられます。
障害の補償 障害(補償)給付
障害特別支給金
障害補償として障害の程度により(第1級)給付基礎日額の313日分の年金313万円から(第14級)56日分の一時金56万円が支給されます。 また、特別支給金として(第1級)342万円~(第14級)8万円が一時金にて支給されます。
遺族の補償 遺族(補償)給付
遺族特別支給金
遺族補償として給付基礎日額の153日分(遺族1名)153万円から245日分(遺族5名以上)245万円が遺族に年金として支給されます。 また、給付基礎日額にかかわらず特別支給金として300万円が一時金にて支給されます。
葬祭 葬祭料(葬祭給付) 葬祭を行う者(通常は遺族)に対し615,000円が支給されます。