ご加入者の声

熱中症における労災保険給付
業務中に熱中症が発症した場合、作業環境、労働時間、作業内容、医学的要件など総合的に考慮され、仕事と熱中症の発症との間に相当因果関係が認められれば労災認定されます。 具体的には、以下の点を中心に医学的要件と併せて判断されることになります。 ① 仕事をしている時間帯や場所に、熱中症となる原因があること(当日の気温・作業環境など) ② その原因と熱中症との間に因果関係があること(症状や発症までの時間など) ③ 仕事と関係ない、他の原因によって発症したものでないこと(持病などではない) 当協会において、熱中症を発症し実際に労災申請した、以下のような事例がございます。 「既設建設建物の改修工事現場にて作業中、朝から30℃を超す暑さの中、ヘルメットを被り、長袖、長ズボンの作業着で作業をしていたところ、昼過ぎ頃から筋肉が痙攣を起こし始め、その後複数回嘔吐したため、作業を中断して病院を受診、熱中症と診断された。」 なお、当該事例では、療養補償給付と休業補償給付が労災保険より給付されました。 厚生労働省が公表した、令和4年の「職場における熱中症による死傷災害の発生状況」(確定値)によりますと、令和4年における職場での熱中症による死傷者(死亡・休業4日以上)は、827人(前年比266人・47%増)であり、全体の約4割が建設業と製造業で発生しています。また、熱中症による死亡者数は30人(前年比10人・50%増)であり、およそ半数が建設業(14人)で発生しています。 熱中症対策として一般的には、こまめに水分・塩分を補給すること、暑さを避けこまめに休憩をとることが挙げられますが、以下記載URL にて詳細な対策が案内されていますのでご参考いただきまして熱中症予防にお役立てください。 STOP!熱中症 クールワークキャンペーン(厚労省リーフレット) https://www.mhlw.go.jp/content/11303000/001100768.pdf
新型コロナウイルス感染症における労災保険給付
コロナ禍における行動制限も入国制限が大幅に緩和され、国内では全国旅行支援がスタートする等、徐々に落ち着きを取り戻してきているように感じます。 しかしながら、一定数の新規感染は発生しており、建設現場に従事する組合員様より「現場で新型コロナに感染した疑いがあるので、労災申請できないか」とご相談いただくことがございます。 建設従事者は医療従事者等と比べ、感染経路の特定は難しいですが、厚生労働省から特例に関する通達が発出され、「調査により感染経路が特定されなくとも、業務により感染した蓋然性が高く、業務に起因したものと認められる場合には、これに該当するものとして、労災保険給付の対象とする」とされています。 認定の判断は個々の事案によって個別にされるものですが、感染リスクが相対的に高いと考えられる事例として、(ア)複数(請求人を含む)の感染者が確認された労働環境下での業務、(イ)顧客等との近接や接触の機会が多い労働環境下での業務を挙げています。 現場でクラスターが発生してご自身も感染したといったケースでは、労災申請も検討されてはいかがでしょうか。
事例1
台風が接近、現場に向かう途中、飛んできた看板が当たって負傷

自然災害は労災保険の対象ではありません。しかし、このような仕事中の災害であれば労災事故として救済されます。屋外での仕事は、時には思いがけない災害に遭う危険性をはらんでいます。突風で足場から落ちたり、隣家の犬に噛まれたり、樹木で皮膚がかぶれたり…意外なときにも使えます。

事例2
一人親方として労災に加入、30年後中皮腫を発症

今問題となっている石綿による健康被害。当組合でも、相談を受ける件数が年々増えています。労災認定では、従業員(労働者)として石綿を取り扱う業務に従事していた場合は問題ありませんが、一人親方として仕事をしていたときは、特別加入をしていたかどうかがポイントになります。